※当時のそのままを再現した源氏物語
いずれの御時にか、女御更衣あまたさぶらひたまひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり。(すっかり暗誦できています)で始まる紫式部の「源氏物語」に初めて出会ったのは確か、高校一年の二学期、古文の授業の時だったと思う。物語の楽しさを味わう前に点数をとることのクリアだけで少しも授業は楽しいものでなかったような気がする。子供達の手が離れて、少し暇が出来、心のゆとりもほんの少しできて、主婦の古典サークル「紫の会」のお仲間に入れていただき再び「源氏物語」を手に取った。東大を退官して、古代学協会の東京支部長をやっておられたY先生の下で、20名に満たない人たちが集まって、本当に小さいサークルだったけれど熱心なY先生のお陰と「源氏物語」を好きなお仲間との出会いで、凄く楽しい時間を過ごすことが出来た。与謝野源氏・谷崎源氏・寂聴さんの源氏(Y先生は寂聴さんが余りお好きではありませんでした)田辺聖子さんの新源氏物語から大和和紀さんのコミック「あさきゆめみし」まで・・・・・・・・。その上に国学院の夏期講座まで好きな人たちと参加して講義を受けていた。地域福祉のお手伝いをする為に民生委員を委嘱されてからは、木曜日にサークルと民生委員協議会がぶつかり、残念ながら「紫の会」は退会をせざるをえなくなったが、皆さんと勉強している時は、少しは朗読や予習もしていたのに、辞めたとなったら何か何にも手をつけることもなく、また手をつける時間もなくなって「源氏物語」から遠ざかって時が過ぎていってしまっていた。勉強したことも殆ど忘れかけていた。この7月の半ばA叔母様より「納戸の整理にコレクションの一部を皆さんに差し上げているのだけれど、貴女は源氏をやっていると聞いていたので、もし欲しければ送るけどどうかしら・・・・・・」とのお電話。じつに嬉しい知らせだった。そして私の手元に現物が届いた。桐の箱にウコンの布に包まれた中山家本「若紫」・「末摘花」・「鈴虫」・「幻」・「絵合わせ」・「御幸」・「柏木」・それに大橋家本「奥入」・傍において眺めているだけで幸せな気分で過ごしている。秋の夜長に久しぶりに紐解いてみようかと思う。さて、何帖からてがけますか。
※Y先生の著書、サークルで使用した源氏関連の本