世田谷にある美術館へ行ってきました。静嘉堂文庫美術館は三菱の岩崎弥之助・小彌太父子が蒐集した国宝7件、重要文化財84件を含むおよそ20万冊の和漢の古典籍と6500件の東洋古美術品を収蔵している美術館です。
チケット&チラシ
今回は「珠玉の香合・香炉展」のご案内を茶道の友人に戴いておりました。いろんな趣味にのめり込んだ若い頃、一番長く続いたお稽古の「茶道」は今は少し遠のいているものの、時には茶道具の取り合わせの展覧会などへ気が向くと出掛けています。「茶の湯」で炭手前で用いられる愛らしき香合は茶席に飾られる機会も多く人気の茶道具ですが、私はクレマンソーの香合展を観て以来「小さきもの」への愛おしく思う気持ちは段々と強くなって行きました。今回の展覧会では国宝の「窯変天目(稲葉天目)」や重要文化財の「色絵法蝶貝香炉」の展示もあるというので大変楽しみにしておりましたので、静嘉堂所蔵の陶磁香合の優品を精選した20余年ぶりの展覧会はとても見応えがありました。
「形物香合相撲」番付け表は安政2年(1855)に出版されたそうです。会場で戴いた「番付表」は茶道のお稽古を始めたころ先生に教わっていたのでしばらくぶりに手にして懐かしい気持ちになりました。この番付表の「形物香合」の内35個を静嘉堂が所蔵しているそうです。
お稽古の初めは夢中で点前順序を覚える事だけで一杯ですが、何年かするとお道具をやたらに買いたくなります。そんな時に先生が「お香合」を買うなら番付表に載っているものがいいわね。と教えてくださいました。本家は一個しかないので後々の作家の人たちが形物を写していますので自分で気に入ったものを購入することになります。番付け表に載っている中で私の持っているものは7個でそのうち名の通った作家物は2個でした。
「静嘉堂」の名称は、中国の古典「詩経」の大雅・既酔編の「へん豆静嘉」の句を出典として、彌之助が堂号として用いました。祖先の霊前への供物が立派に整うことを意味するそうです。先祖代々の慰霊塔をはじめ邸内に広がる豊かな自然や貴重な文化財を残してくれた三菱財閥の凄さを改めて感じ入った所です。